犬の痴呆(認知症)
獣医療の進歩や飼育環境の改善により、高齢化した愛犬の痴呆症(認知症)が問題になってきました。 原因には脳の加齢性変化による機能障害や、自律神経の異常などがあげられます。これに関しての研究はあまりありませんし、決定的な治療方法もないのが現状です。
しかし、初歩の段階であれば、薬剤の速効は望めませんが、継続的使用で効果が出る子もいます。 また、現在発症している場合は、少しでも重症化を遅延させるために、受診することをお勧めします。
痴呆の夜鳴きについて、関係していると思われる原因を簡単に記載してみました。特に、飼い主が最も悩んでいるケースは、夜鳴きによる睡眠不足や近隣への迷惑の気遣いでしょう。
愛犬によっては、夜間冷暖房を切られ暑がったり、寒がっている・緑内障の痛みがある・白内障が進行して目が見えない・耳の中が痛痒い・耳が遠くなっている・腹痛を持っている、などの体調不良も、不安や寂しさの一因となり、鳴いて訴えているのかもしれません。
病気の疑いがある時は治療を受けてください。また、昼間寝ていることが多いので、歩行可能であれば適度の運動による疲労感やスキンシップを増やして、刺激を与える看護もいいでしょう。
<痴呆症の疑いの項目>
よく見られる行動変化を記載しています。若い頃を思い出して、客観的にチェックをしてみてください。
- 名前を呼んでも反応がにぶく、尾を振る喜ぶ動作など表情の低下がある。
- 歩行の仕方がトボトボとゆっくりになり、マイペースである。
- 最近よく寝るようになった。運動量の減少の割りに食欲旺盛で下痢もない。
- よく狭い隅に頭を突っ込んだりして、後退や方向転換に時間がかかる。同じ方向に円運動(歩行)をする。
- 夜間に繰り返し鳴くようになった。単調で悲しそうな小声であったり、大声で吠えたりする。
- 室内犬で家の中を徘徊する。過度で足の裏がすりへって肉球から出血することもある。
- 立ち止まって、壁や宙を見続けていることが増えてきた。
- 尿や便を一定の場所(トイレ)にしなくなった。
<院長からのお願い>
痴呆症は10歳前後から、特に12〜13歳以上になると増えてきます。症状もはっきりしてきます。高齢でもう治らないと言わずに、早期の発見と治療をお勧めします。共に生きる仲間たちに、より良い終末の生活を送るために....... ご不明な点はお問い合わせください。
|